左利きでお悩みの若手歯科医師、臨床研修歯科医師、歯科大生の方、その他、歯科医師を目指す左利きの方へ
みなさん、免許を取ってまだ日が浅い方、臨床研修中の方、あるいは大学で実習中の方、高校生、立場は様々だと思いますが、
「本当にこの仕事で食べていけるんだろうか」
「右手なんか箸さえも使えないし、ボールも投げられないのに、人様の口の中で歯なんか削れる気がしない」
と不安になってはいないでしょうか?
でも、
「周りは右利きで当たり前、みんなの悩みとは次元が違うし、誰もこの不安をわかってくれないだろうから言えない」
と一人で悩んではいないでしょうか?
はじめまして、大阪市港区にて開業しております、医療法人わくわく会みなと大人こども歯科クリニック
院長の河野といいます。
左利きにも、「箸は右、あとは左」「字は右、あとは左」と色々程度がありますが、私は幼いころにそんなに矯正されずに、右手は中学からしていたバスケットで使うぐらいで、あとは全て左でした。
幼少期から模型作りや絵を描くことが大好きで、幼稚園や小学校でもたくさん賞をもらっていましたが、大学に入るときに、自身の利き腕のことを不安に思い、父も歯科医でしたので相談すると、大学時代の同級生で大学で教授をしている先生に、左利きの学生や歯科医はいるのか、左利きでもやっていけるのか聞いてくれました。
すると、「左利きの先生もいるが、みんな普通にやっている」とのことでしたので、「ほんとかよ」と思いながらも歯学部に入ることになりました。
学生時代の実習ははっきり言って、困る事は有りませんでした。
これは歯科医師、歯学部生のみなさんも感じておられるでしょう。
なぜなら、実習は技工が中心で、どっちの手でもおこなえるからです。
タービンを使う実習もありますが、数も少ないですし、あからさまに右利きの人と差が出るようなことはありませんでした。むしろ、手は器用なこともあって、部分入れ歯を作製する実習では学年で2位で表彰されました。
そして、いずれやってくるであろう困難と不安をなんとなく予感しつつ、学生時代を終え、国家試験に合格し、臨床研修医になりました。
すると、そこで徐々に不安と困難が現実になってきました。
私は病院で1年間研修するコースを選択したので、患者さん1人に付き1時間かけることが出来たのですが、やはりうまく行きません。
患者さんの数もそんなに多くないですし、事細かな形成の注意点、コツなども今となってはたくさんあることを知っていますし、今は勤務医の先生を教える立場でしっかり伝えていっていますが、当時はそんなことは教えてくれず、どちらかと言うと「自分で考えてやれ」「見て盗め」的な教育でしたので、たいした右手の成長も無く、研修も12月と終盤に入っていきました。
研修終了後は大きく分けて4つの道があると思いますが、
まず①「大学院に入る」
②「病院医員になる」これは、週の半分を大学病院で診療し、残り半分を開業医でバイトをすることがほとんどです。
③「開業医で2,3軒バイトを掛け持ちする」
④「1つの開業医に常勤で勤務する」
といったところでしょうか。
みんな周りは進路を選ぶにあたって、当然、利き腕の要素なんか気にせず迷っているのですが、
私は1人で、左利きという要素も含めて進路を選ばなければなりませんでした。
私はいずれは父の跡を継ぐか、自身で別のところで開業すると漠然とですが考えていたので、
「このままいきなり社会に出ても、通用するはずがないので、大学院か病院医員になって徐々に出来るようになってから、開業医で勤務医として働こうか」と当初は考えていました。
しかし、自分がカッコいいと思えたのが、大学病院の先生よりも開業医の先生で、
特に尊敬する部活の2つ上の先輩が、開業医で常勤医として働いていて、その医院のホームページからですが若くして分院長になったり、その活躍を見て、また、私はそもそも大の勉強嫌い(今はスタディグループに所属し、日々研鑽しています)でしたので、①と②は無くなり、③は研修上がりで即戦力でもないし、パートDrは開業医において教育対象ではないイメージがあったので徐々に④の「1つの開業医で常勤で勤務する」に進もうかと考えるようになりました。
そしてなにより、
だましだましやっていても、いずれは根性入れてやらないといけない時が必ず来るし、それを遅らせていけばいくほど、無駄に経験年数だけ重ねて、「おまえ、その経験年数でこの程度か」となると思ったのと、
「今は左利きで、周りの右利きよりも劣っているが、自分が右手を使えるようになれば、両手を使えるDrになって右利きDrよりも優位になれる」
と考えました。
これは自分でもすごいと思いました(笑)、悲観的だった自分に光が差したような気がしました。
発想の転換で、まさしく「ピンチはチャンス」と悲観することなく、むしろ好機と捉えることが困難に打ち勝つ秘訣だと、今でも大切にしています。
そうして、私は④の「1つの医院で常勤で勤務する」に決めました。
私が左利きという事は事前に伝えていましたが、特に先方は気にすることもなく就職が決まり、大阪の本町の、今は無き「国際ビル歯科」というところに常勤で勤めさせていただくことになりました。
そこでは院長と理事長先生と会長先生がいて、誰が一番上なのかよくわかりませんでした(笑)が、私は院長先生に弟子入りすることになりました。
理事長先生はメーカーに頼んで、私のチェアーのタービンホースを伸ばしてくれました。
院長先生は、治療はもちろん、箸も全て右でするように徹底的に指導されました。
どちらも私を思ってのことで、今はお二人に感謝しておりますが、結果的に言うと、やはり当初、私が決心したように、
「右に矯正しなければこの世界ではやっていけない。でも、右を使えるようになれば大いに診療の幅が広がる」
と今では確信しています。
診療台(チェアー)は全て右利き用に作られていますし、仮に、左利き用にチェアーを改造したところで、診療を補助するアシスタントがとてもやりにくいでしょうし、もし、勤務医の先生を雇うとなっても左利きの先生しか雇えなくなるからで、全く現実的ではありません。
また、私は「おもてに全く出さない負けず嫌い」だったので、利き手が左というだけで、特に器用でもない右利きに負けるのが絶対嫌だったのです。
そうして、診療中は右手で治療し、お昼ご飯はどんぶりをひっくり返しそうになりながら食べて、徐々に右手が使えるようになってきました。
たいへん患者さんが多い医院だったのですが、研修上がり、ましてや左利きの自分にたくさんの患者さんを配当していただきました。
おかげさまで、だいたい1年半ぐらい経つとだいたいは出来るようになりましたが、完全に自在に操れるようになるにはそれでも3年はかかったと思います。
今では診療においてですが、自由自在に右手を使えます。もし、左右両方にタービンがあれば前歯部なら両手で別々の歯を削れます。抜歯は右手で難しいところは左手でやります。他にも細かいので割愛しますが、その診療の質や、効率化は右利きよりも圧倒的だと自負しています。
2014年に開業して、今では、勤務医の先生も常勤2名、パートDr3名いますが、スタッフはみんな、治療したいときに、私にお願いしてきてくれます。(勤務医の先生はよくお分かりだと思いますが、スタッフはDrの治療をよく見ていて、たとえ院長でも下手だったら、上手な勤務医の先生に治療をお願いします。)
そして、これは利き手は関係ありませんが、
自身も勤務医であった時代から、開業して勤務医の先生を雇うようになって現在に至るまで、多くの先生と共に診療してきて確信していることが、やはり、開業医に常勤で勤めて、なおかつその勤務先がしっかり教育して、量、種類ともに多くの症例を経験させてくれているところの先生は治療も基本がきっちりしていて成長も早いという事です。
最後になりましたが、今回、私がなぜ、このようなページを作成しようかと思ったのかというと
私が、利き手で悩んでいたときに、どこにも相談するところが無かったからです。
他院に勤務中の勤務医の先生、研修医の先生、学生さん、あるいは親御様、出身大学や立場は問いませんので、左利きでお悩みの方はぜひ一度、お気軽にご相談ください。
メールでもお電話でも構いません。直接お会いしてのご相談もいたします。
また、左利きで勤務をご希望の方も大いに歓迎です。先生のその左利きは「ハンデ」ではありません。
大いなる「アドバンテージ」です。
私は今まで迷惑をかけお世話になった先生方への恩返しの意味でも、左利きの先生を立派に活躍できる歯科医師に育てたいと強く思っております。
しかし、そのように捉えて、先生を育ててくれる医院がどれほどあるでしょう?
当院では実習用ファントムと130ページにおよぶ勤務医育成マニュアルも完備して
そしてなにより、左利きの先生の悩みに寄り添い、必ず活躍できる歯科医師に育て上げるという強い気持ちを持って、先生からのコンタクトをお待ちしております!
メールの場合は題名に「左利き相談」と入れてください!
お電話の場合は「左利きで相談したい」とお伝えください!
従業員専用パウダールームもあります☆
ファントム
実習用ファントムを完備しており、実際にチェアーに取り付けて、実戦に即した形でトレーニングを行いますので
よくある、石膏模型をタービンで削る練習などではなく、成長も早く、再現性があります☆
ファントムに取り付ける人工歯は医院が負担し、いくらでも使うことが可能です☆
プロトレイン
根管治療も抜去歯を専用の装置に取り付け、しっかり電気的根管長測定が出来る状態で行いますので、
手用でのファイリング、マイクロモーターでの拡大も実戦に即した形で行うことが出来ます。